そのお米 美味しいですか?安全ですか?安いですか? おこめ兄弟の米作り

初めまして。お米を食べる皆さん。
兵庫県南西部で兄弟でお米を作っている「おこめ兄弟」です。
「宇宙兄弟」を知っていますか? 
二人の兄弟が切磋琢磨して 宇宙飛行士を目指すマンガ。
私たちも 兄弟協力して 美味しい、安全、そして安いお米を 皆様にお届けするべく「おこめ兄弟」として 私たちの米作りを発信します。

兼業農家 農家の子は農家 

まず最初に 「おこめ兄弟」の自己紹介から。
我が家は 昔から兼業農家で米を作っています。
日本では、農家の子が、農家になります。
そして我が家では 兄が農家を継ぎ 米を作っています。
ところが、今日本の兼業農家は、高齢化と後継者不足によって米を作る人が減っています。その作らなくなった田んぼを作る人が引き受けて田んぼを作る状況になっています。
我が家でも 数年前から作らなくなった田んぼを引き受けるようになり 兄ひとりでは手に負えなくなってきたので 
兄弟で米を作るようになりました。

ほっときゃいいじゃん。なんで引き受けるの?

いろいろご意見は おありでしょうが、
今の兼業農家が抱える問題については、他の機会に触れるとして 
話を先に進めます。

ところで 農家はどのようにして米の作り方を覚えるのだと思いますか? 
米の作り方は 一般的に親のやり方を見て覚えます。
私たちの米作りも 父の米作りが元になっています。

父の農法と慣行農法

私たちの父は、サラリーマンをしながら農業をしていました。
亡き父を悪く書くつもりはないのですが、父はほんとうにズボラな米作りをしていました。
父のこのズボラな米作りが 今の私たちの米作りに少なからず影響があるので 
ここで 農協(農協とは 農協協同組合、今のJAです。)が勧めている一般的な米の作り方(慣行農法といったりします)と ズボラな父の米作りを比べながら 
昭和の中頃から平成の中頃まで 父がどのようにコメを作ってきたかを説明します。

農協では、毎年「水稲栽培ごよみ」というスケジュール表を農家に配布します。
ちなみに村では、ほとんどの農家が、この「稲作栽培ごよみ」に沿って米を作ります。

JA兵庫西 水稲栽培ごよみ

田んぼをすく

秋の収穫が終わって1ヶ月も過ぎると 来年の米作りが始まります。
「秋すき」といって 田んぼの土をひっくり返す作業をします。「すく」とは、牛や、耕運機や、トラクターで田んぼの土を耕すことです。
私が少年時代は、すでに耕運機やトラクターの時代でした。今では、田んぼをすく機械は トラクターということになります。

日本の乗用トラクターメーカーには クボタヤンマーヰセキ三菱マヒンドラが有ります。

出典 ヤンマートラクター

さて、秋すきが終わると 次は冬の間に土質改良資材を混ぜながら「冬すき」をします。
土質改良資材とは、田んぼの土を酸性からアルカリ性に変えたり、粘土質を補ったり、菌が増えるようにミネラルを補ったりするための資材です。

そして更に春には、肥料を入れて春すきです。
ちなみに肥料ですが、
作物が育つには、窒素、リン酸、カリの3つの栄養素を必要としますが、農家は、この3要素が適正な割合で配合された化学肥料を農協から購入します。

さて、父はというと、気分が乗れば、冬にも田んぼをすきますが、普通は、春からすき始めます。
父は、土質改良資材も肥料もほとんど入れません。
農協から季節ごとに材料や肥料や農薬が届くのですが 
ほとんど 納屋(農業倉庫)に積みっぱなしで、使ったり使わなかったり。

種籾の準備と 田植え

5月に入ると、田んぼの準備と平行して 苗作りが始まります。

農協から購入した種籾を水に漬けて水を吸わせて 種籾に発芽の準備をさせます。

私は、この籾の発芽準備について実はその実態を全く知りません。
昔は父が、そして今は兄が、ひとりで密かにせっせとやってくれているようです。

そして5月の連休が終わる頃、育苗箱に種を蒔き、育苗箱を庭先の平らなところや、苗代田(なしろだ=苗を育てるために用意した田んぼ)に並べ、 遮光シートを掛けて発芽させます。
種籾が約2週間掛けて遮光シートの中でしっかり発芽したらシートを取って太陽の光と水をたっぷりと与えてしっかりとした苗を育てます。

父は、田んぼの一角にコンクリートを打った平らな場所を作り、そこに育苗箱を並べて苗を育てていました。

ズボラですが、いろいろと工夫するのが好きな父は、タイマー式の自動灌水装置を設置していました。
しかし自動では、どうしても水の多い箇所と少ない箇所ができて、不揃いな苗が育ちます。時には、枯れてしまう苗さえありました。
そんなときは、農協で苗を買ったり 余った苗を親戚からわけてもらったりします。

さて、6月に入るといよいよ田植えです。
田植えは、畔の草を刈り、田んぼに水を張って1日おいて 代掻きをするところから始まります。

代掻き(しろかき)とは、水の中で土を細かく砕き かき混ぜて田んぼの土を平らにならす作業です。
代掻きをして2〜3日そのままにして土を落ち着かせたら 田植機で田植えをします。
慣行農法では 田植えと同時に肥料と除草剤を入れるのが一般的です。
なぜ稲を植えるのと同時に、肥料をまいて 除草剤もまくなんて芸当ができるのかというと、田植機にそういう設備が着いているからです。

父の場合は、田んぼに水を入れてざっくりと代掻きをして一晩置いて直ぐに田植えです。
除草剤も肥料も 入れる時もあれば 入れない時もある。とにかく気分屋でした。

代掻き風景 有機農法の田んぼには、鳥が集まるって本当ですか?

水の管理 追肥 中干し

田植えが終わると、日々の水の管理と防虫剤の散布、追肥が待っています。
一般的に田植えから7月後半まで 田んぼは、水が張った状態を保ちます。この水を張った状態が 除草剤や肥料をより効果的に働かせることになり、イネの生育を促進します。
だからこの時期 村は水の取り合いになります。
また 稲の発育状態を見ながら 追肥といって更に肥料を加えたりもします。

さて 7月後半になると、一旦田んぼの水を抜いて土を乾かす「中干し」をおこないます。
中干しによって土に酸素を補給し 根に活力を与えます。

水の管理に熱心ではない父の場合、すでに7月初旬から中干し状態です。
水のない田んぼでは、イネと同じ高さにヒエが育っています。
ヒエだけではありません。
ホタルイ、アメリカセンダングサ、クサネムなどなどいろんな草がはえています。

田んぼに水を張り続けるのは、イネの成長と同時に、除草のためでもあるのですね。
水に被われている田んぼは、植物が芽を出せないんです。

おかげで、うちの田んぼは、遠くからでもすぐにわかります。村の人も、「あ、あそこは、○○さんちのたんぼだね。よく育ってるわ。草が。」って感じです。

出穂とカメムシ 水の管理

他の農家では、田んぼの土にほんの少しひび割れがはいるぐらい中干しをしたら また田んぼに水を張り 8月の出穂(しゅっすい)を待ちます。
出穂とは、稲の茎の中でお米の集合体である穂が茎の先にでてくることです。
これを待ちわびているのがカメムシです。
カメムシは、出穂した穂に尖ったストロー状の口を差し込んで 中のまだ硬くなっていないクリーム状のお米を食べます。食べるというより吸う感じ。

そこで農家では、畦の草を刈ったり 防虫剤を散布して カメムシを寄せ付けないようにします。

父は もちろんカメムシも気にしません。

他の農家では、8月 9月、田んぼの水がなくなったら水を入れ、なくなったらまた入れをくり返す間断灌水をしながら、収穫まで水を管理します。それと同時に茎の色を見ながら 更に追肥します。

父は 水の管理をほとんどしませんでしたが、稲が育たないわけではありませんでした。
水を入れなくても、6月は梅雨の長雨で田んぼにはそれなりに水が溜まります。
7月も8月も9月も台風で雨が降ります。台風以外でも雨は降りますから 我が家の稲もそれなりに育ちます。 

実りの秋 収穫

10月になると すっかり稲穂も頭を垂れていよいよ 刈り取りです。農家では 刈り取りの10日ほど前に 田んぼの水を落として 刈り取りの準備です。

ズボラとはいえ、我が家のイネもそこそこ育ち、秋には、とりあえず、収穫。記憶をたどる限り、収穫できないほど稲が全滅した年はなかったと記憶しています。

そんなズボラな父ですが、収穫したての新米を「おいしい、おいしい。」と自慢げに食べていました。

慣行農法と食管法と「畝一俵」

慣行農法の目的とは

さて、皆さん。ズボラ農法と慣行農法の比較を読んでいただいて どう思われましたか?

「慣行農法は、いそがしそうですね。」
「まるで 宿題の多い学校のようですね。」
「なるほど、お父さんはズボラですね。」

いろんな声が聞こえてきそうですが、
いや〜、全くお恥ずかしい。
父は、宿題を殆ど提出しない小学生みたいな感じです。

それにしても ズボラに慣れた私にしてみると とにかく慣行農法は 宿題が多すぎます。
ではなくて 肥料や農薬をたくさん使うなあと思います。

しかし、宿題をちゃんと提出すると よい成績がもらえるのです。
つまり、雑草が生えないようにたくさん農薬を散布し、稲がよく育つようにたくさんの肥料を与えると 米の収量が増えるのです。

食糧管理法

父が米を作った昭和の時代は 食糧管理法によって、国が農協を通じて米を買い上げてくれた時代です。
農協は 農家にどんどんと肥料を売り、農家は、稲に肥料と農薬を与え、収量を増やすことに専念しました。
だって作りさえすれば 国がいくらでも高い値段でそのお米を買ってくれるんですから。

食糧管理法とは 第2次世界大戦中の1942年に 全ての国民に平等に米が食べられるように 全ての米を国が買い取って 国の決めた価格でお米を売るという制度です。

目指せ、畝一俵

米作り農家には 「畝一俵(せいっぴょう)」というお米の収量を表す言葉があります。
直訳すると 1アールの田んぼから60kgのお米を作るという意味です。
もう少し分かりやすく説明すると、
畝(せ)とは 田んぼの広さを表す言葉で、1畝=1a=10m×10m=100平方メートル
俵とは米60kgです。

昔(豊臣秀吉の時代の頃)、お米1石(こく=150kg)を収穫できる面積を1反(たん)と決めました。
1石は、昔(安土桃山時代、江戸時代の頃)の大人1人分の年間消費量に相当します。
1反=10畝=約10a=1000㎡ テニスコート約4面分ぐらいです。
つまり昔は10aで150kgのお米を作っていたことになります

ちなみに「石」という単位は、江戸時代の、領地の広さや武士の給料の単位に使われました。つまり昔の日本は、お米が通貨みたいなものだったんですね。

話が脱線しました。収量の話にもどります。

ところが第2次世界大戦後始まった慣行農法では、畝一俵という言葉があるように 10aで600kgの収量、つまり機械化と農薬と化学肥料によって江戸時代の4倍の収量のお米を作るようになりました。

更に新田開発、機械化、技術の進歩により 米の生産は飛躍的に伸びて ついに1960年代食糧管理法の目的であった米の自給率100パーセントを達成しました。

お米離れと食管法の廃止

さて、慣行農法を発展させて たくさんお米が作られるようになりましたが、お米の消費量はどうなったか。

お米離れ

上でも書きましたが、少なくとも昭和初期まで 大人1人の米の年間消費量は 1石=150kgでした。
これを1食の消費量に換算すると 
150kg÷365日=0.410kg ÷3(1日3食)=0.136kg=136g 
昔の人は 一回の食事で136g つまり約1合弱、計量カップ9分目のごはんを食べました。
ところが1960年ごろから、都会で生活する人や工場や会社で働く人が増え始めて 食生活が変化してきました。
つまり、パンやラーメンやパスタを食べる人が増えて、お米の消費が減り始めました。

現在では 1俵=60㎏程度が大人1人の1年分の消費量だそうです。
米の消費量は 半分以下に減ってしまいました。

自主流通米、減反政策、そして食管法廃止

その結果、国が買い上げているお米が余り始めます。農家から高くお米を買って、国民には、安く売っているのに、それが余り始めたのですから、お米が国の財政を圧迫し始めます。

そこで国は 1969年に「農家がお米も自由に売ってもいいよ」という自主流通米制度という制度を作ります。
更に1970年に 農家にお米を作る面積を減してくれ。もちろん減らしてくれた分の補償はするよ。という減反政策を始めます。

ところが、そんな法律では、追いつかない事態になってきます。
1970年代、日本は、アメリカに車や電化製品をどんどん輸出しました。あまりにたくさん売りすぎたので アメリカが 
「こんなに日本の製品を買っているんだから アメリカの農産物も買ってくれないと、もう車もテレビも買わないよ。」
といい始めたのです。
その時代、国の経済を支える産業は すでに農業よりも工業になっていました。
だから政府は「農家の人には申し訳ありませんが、工業を優先させたいので、お米も輸入することにします。」といいました。
そうなると、ますます日本中にお米が余ることになります。

そうなってくるとますます食糧管理法の意味がなくなってきて ついに国は お米の売買を管理する食糧管理法を1995年に廃止することにしました。

突然 これまで国が手厚く保護してきた農家の皆さんに 明日から直ぐに自分でお米を売って下さいねといっても それは難しいでしょうということで 農家の皆さんを守る為に 減反政策は残っていて、お米を作らなくても補助金がもらえる時代が2017年まで続きました。

米の自由競争

さて これまで政府に守られてきた農家ですが、いよいよ2018年から農家にも 自由競争の中で自分の作ったお米を売らなければならない時代が来ました。
ちょっと遅すぎるかんじですけれど。

ブランドの先駆け 南魚沼産コシヒカリ

さて、自由競争になったからといって、これまで農家からお米を買っていた農協や米屋が、お米を買わなくなるわけではありません。
2019年も ほぼこれまで通りの価格で お米をかってくれます。
しかし、助成金や減反補償がなくなったので これまで通りの米作りでは、農家の収入は先細りです。

そこで 日本中の農家で 少しでもお米を高く売る為の模索が始まっているのです。

では、どうすれば 少しでも高くお米を売ることができるか。

やっぱり特色の有るお米を作ってブランド化して 名前を売って 米の価値を高める。

実は、その先駆けが 新潟県南魚沼郡の「コシヒカリ」です。
南魚沼産コシヒカリは、
2018年の減反政策廃止に先立つこと1969年の自主流通米制度の導入によって お米を各地の農協や農家が 自由に売ることができるようになったとき、美味しいお米として売り出したブランド米なのです。

そしてその「コシヒカリ」という品種は いまや日本で一番作付面積の多い品種になりました。

残念ながら いまからコシヒカリを作っても ブランドにはなれません。

品種

では、他の品種ではどうか?

今、いろんな産地で いろんな品種のお米が作られています。
きらら397、青天の霹靂、ひとめぼれ あきたこまち etc.
お米の品種をかき出したら 切りないほどです。

今は、品種によるお米のブランド化、差別化に 農協や農業試験所はは、一生懸命です。
しかし、美味しい品種だからといって 日本中どこでも その品種を作れるわけではないのです。
品種とは、地域の気候に合うように改良されていますからね。

作り方で勝負する。

ブランド化、差別化するためには、「特色」を作る必要があります。
少なくとも 多くの農家と同じ化成肥料と農薬による米作りでは 同じ味、同じ品質のお米しかできません。
だから 作り方を変える。

でも これがむずかしい。
これまで化成肥料や農薬で畝一俵の収量を上げてきた農家の場合は もし方法を変えて収量が減ったら それはそのまま収入の減少につながるわけですから。

有機農法への挑戦

ところが、おこめ兄弟さんちのお父さんは ズボラ農法だったので おこめ兄弟は どんな作り方だって挑戦できます。
つまり気持ち的に どんな方法で作っても怖くありません。
畝一俵なんてたんなる言葉だけだったのですから。
(ある意味、父は殿様商売をしていたかということですが、トホホ)

しかし 父も年を取り 農業引退。

父が田んぼを引退してから 母の提案により 兄の有機肥料による米作りが始まります。
はじめは、市内の米屋から米ぬかを買ってきて 田んぼに播いて米を作りました。
米ぬか肥料で作った米は これまでにない甘みと味わいがありました。

しかし、米ぬかは肥料としては、値段が高い。
そこで 牛ふん、鶏糞を実験し、
現在は、春の田んぼにレンゲの花を咲かせ、それを土にすき込んで肥料にする緑肥と完熟鶏糞を使って 米を作っています。

4月レンゲの花が咲き始めた田んぼ

有機肥料と化成肥料

ところで有機肥料と化成肥料(無機肥料)の違いって何? 
そう思われた方に説明します。

化成肥料とは 化学的に作った窒素 リン酸 カリという栄養素を米の成長に適した割合で配合した肥料です。
栄養素そのものなので、水に溶けやすく、稲に直接吸収され 肥料の効果が出やすいという特徴が有ります。

分かりやすくいえば サプリメント、プロテインです。

しかし反面、そればかり与え続けると 土の微生物が減って、土地そのものの栄養が減ってきます。
それを土地が痩せるといいます。

有機肥料とは、発酵させた植物や動物の糞を 土の中の菌や微生物が分解して無機物に変えそれを稲が吸収します。
土の中の菌や微生物に頼るため、稲が栄養素を吸収するのに時間が掛かりますが、栄養素の由来のちがいにより、味わいに変化が出ます。

これも分かりやすくいえば、自然食品だと思えばわかりやすいかも。

ところで有機肥料は 健康によくて 無機肥料は健康に悪いというイメージがありますが、そうではないようです。
稲にとって適正な量の肥料が与えられれば、体に及ぼす影響はどちらも同じです。

では、肥料を与えないと稲は育たないのかというと、
そんなことはなくて土の力で育ちます。
その証拠に 雑草は、肥料がなくても育ちますよね。
その考え方を元にした 農薬と肥料を全く使わずに稲を育てる自然農法という作り方がありますが、その場合、収量は慣行農法の半分です。
で、そのお米はというと 草の味がします。水の味がします。それを美味しいという人もいます。

味 食味検査と食味値

ところで お米の美味しい味っていったいどんな味なんでしょうか?

食味検査

実は、お米の味を調べる試験があるんです。日本穀物検定協会が毎年春に実施している「米の食味試験」というものです。

その試験では、決められた炊飯器で炊いたご飯を「外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価」の6項目で 複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準米にして 評価します。

基準米と同じ程度ならA’、

特に美味しいものを特A、

良好なものをA、

やや劣るものをB、

劣るものをB’として評価するそうです。

実際に特Aになった香川の「おいでまい」という品種のお米を食べてみましたが、いやはや、何とも、すばらしい。

まず、炊きあがった米の粒の大きさがみんな同じ大きさに揃っていて 丸々としてふっくら、つやつや。ほんのり甘く香ります。
味は、口に入れたときは、特に印象がないのですが、噛んでいくとじんわりと甘みが増していきます。お餅のようなマイルドな甘み。歯ごたえは、もっちりとしてそれでいて、シャッキリ粘っこくない。

よく炊飯器のCMで 炊きたてのご飯の表現に使われる言い回しや言葉がありますが、その全てを この特Aのご飯に感じました。ちょっと大げさですか?。

お米の味わいというのは、フランス料理や中華料理とちがって、口に入れた瞬間は、それほどのインパクトはありません。

しかし、ゆっくりとじっくりと咀嚼しているうちに 味が染み出してくる。

だから、私が大げさに書いたからといって それを鵜呑みにせずに ゆっくりと咀嚼してじんわりと感じ取って下さい。

食味値

さて、お米の美味しさを表すもう一つの基準に「食味値」という評価があります。

食味値は 近赤外線分析機で、「アミロース」「タンパク質」「水分」「脂肪酸度(玄米)」の4つの成分を測定し、食味方程式により食味値を出します。 食味値は、100点満点で表し、数値が高いほど美味しいお米になります。 最近の良食味品種の増加や美味しい米作りの努力により、日本産では、65~75点が標準になっています。

(米食味鑑定協会ホームページより)

この食味値検査に 2019年産のおこめ兄弟のお米を検査してもらったところ、67から79の評価でした。
正直、驚きました。

兄が有機農法を始めた頃から、知り合いにお米を配ると「美味しい」とは、言われていたのですが 
人は もらったものを不味いとはいいません。
だから そんな言葉もお世辞程度に聞き流していたのです。

味とは 半分は食べる人の気持ちです。だから自分が端正込めて作ったものは、一番美味しい。
だから、農家の人は、隣の人のお米と食べ比べることもありません。
なので 美味しいといわれても、半信半疑でした。

ところが、食味値となって 美味しさが数値化されたことで、
「なんだ。標準的な味にはなっていたんだ。」と安心しました。

では、食味値100点のお米って どれだけ美味しいの?

そこで新潟県南魚で特Aで尚かつ食味値100点のお米を生産している「しおざわダッシュ村」のコシヒカリ特A食味値94点のお米を食べてみました。

まず、炊きあがった米の粒の大きさがみんな同じ大きさに揃っていて 丸々としてふっくら、つやつや。ほんのり甘く香ります。
味は、口に入れたときは、特に印象がないのですが、噛んでいくとじんわりと甘みが増していきます。
お餅のようなマイルドな甘み。歯ごたえは、もっちりとしてそれでいて、シャッキリ粘っこくない。
ここまでは 香川の特Aとほぼ同じ。

しかし、ダッシュ村のお米は、もみがら堆肥による有機肥料のためでしょうか。
草の味わいがありました。
甘さではなくキレのある味。
美味しい水のような味わい。
それは決して水っぽいというのではない。

日本酒の味に 甘口、辛口という表現がありますね。香川のお米と新潟のお米を食べ比べたとき、まさに甘口と辛口の違いを感じました。
でも、考えれば当然のことです。
日本酒は、その土地の米と水で作られるのですから。

だから、やっぱり 特A以上のお米になると あとは、好みの問題になってきて、どのお米が一番美味しいかなんてことは、言えません。

さて、これらのお米に比べると おこめ兄弟のお米は、甘さや味わいがあるとはいえ やはり見劣りします。
決定的な違いは 粒の揃い方です。さすが、特Aだけあって 香川や塩沢のお米は粒が全部同じ大きさです。

お米の安全と農薬

さて、次に安全なお米について考えてみたいと思います?

慣行農法で欠かせないのが肥料と共に農薬です。上でも述べましたが、肥料の場合、化学肥料だから有害 有機肥料だから無害ではなく、適正な量を用いればどちらも害はないと。

では、農薬はどうか?

農薬は、稲以外の植物を枯らしたり、また虫や菌による病害を駆除してくれます。

もし農薬を使わないと、雑草は、直ぐに生えてきてそれを放置すると、本来稲が吸収するはずの栄養分を雑草が吸収して、収量が減ってしまいます。
農薬を使わず雑草を生やさないようにするには、6月、7月、8月、9月の間、絶えず田んぼを見回り、田んぼの中を歩き、草を取り除かねばなりません。

また田んぼや畦道の雑草をそのままにしておくと、カメムシやイナゴが発生しやすくなるので、そのためにも草取りは欠かせません。

その時間と労力を 農薬は補ってくれます。
だから 慣行農法の多くの農家は 農薬を使います。

農薬は 顆粒や液体を田んぼの水に溶かして使用します。
水に溶けた農薬は 全ての植物が吸収します。
もちろん稲も吸収します。
しかし農薬の成分が、雑草には効くが 稲には効かないようになっているので 雑草は、農枯れますが、稲はそのまま育ちます。

そんなことが できてしまう現代の化学は 本当にすばらしい。

さて雑草は枯れて農家の人も一安心ですが 稲が吸収した農薬はどうなるの?

成長と共に代謝して消えて行くとは言え 吸収してからあまり時間が経っていない場合は、農薬は とうぜん稲の中に多く残っています。
そして時間が経っても微量ですが 農薬は残ることになります。

残るのですが、その残り方が 国の定めた基準を超えていないから 使用できるということです。

とにかく、農薬は 使わないに超したことはないが、使っても健康に問題はないと国が認めているのだから、気にしないでおくことにしましょう。

スーパーに出回っているお米は 殆ど慣行農法で作られたお米です。

農薬のことを気にしていたら、スーパーで売っている野菜だって食べられませんよ。

えええ、そんなんで本当にいいの?

ダメと言うなら、自然農法で作った食材の専門店で 高いお米とお野菜を買って下さい。

おこめ兄弟は 農薬はどうなの?

父は、ズボラな米作りをしましたが、そのおかげで殆ど農薬を使いませんでした。

父のそのような米作りのおかげで、現在でも おこめ兄弟が農薬を散布するのは、田植えの時に1回。中干し前に1回の 2回のみです。

安いか? 高いか? お米の値段

でも、毎日食べるお米。やっぱり一番気になるのは、価格です。

スーパーで売っているお米が10Kで3500円が平均価格だとすると、
香川の特Aは 10Kで5571円。
なかなか 普段は手の出ない値段です。

しかし、新潟県南魚沼ダッシュ村ときたら 
なんと10Kで 17280円!!

もちろん 南魚沼産というだけで 新潟の他の地域のお米と 買い取り価格で8000円の差があるのですから、当然と言えば当然なのですが、
それをさし引いても10Kで9000円ということになります。
(参照、日本の米市場) 

恐るべしブランド力。

ちなみに おこめ兄弟のお米なら 10Kで3500円です。
見栄えはともかくお手頃でしょ。

しかし、おこめ兄弟のお米の目標が これでハッキリとしました。
先ずは、粒のしっかりとしたお米を作ることです。

そのお米を選ぶのは あなた。

今、インターネットの普及でいろんな情報といろんな商品を 手に入れることができる時代になりました。

家族や自分の健康を自分で考え そのための行動ができるということです。

安ければいいというなら、スーパーの特売品を探せばよいし、
もし、安心したければ 手間を惜しまず、自分で探して自分で買うのです。

しかし たぶん 安さだけを求めると、その先には、とんでもない未来が待っているのかもしれません。

どんな商品でも 安さだけを求めたら、品質は低下します。
そして安さだけを求めたら 兼業農家は なくなります。
きっと大規模農業工場が 安くて美味しいお米を作ることになるでしょう。

そうなったら、たぶん 日本の自然や、農村の風景も 消えてしまうかも知れません。

農業は、自然環境や 人口問題や、政治や もちろん経済と密接に繋がっています。

そしてその農業を支えているのは、みなさん。消費者です。

おこめ兄弟の目指すもの

このブログでは、おこめ兄弟の米作りを紹介しましたが、
これから、おこめ兄弟が感じる農業のことを 書いていきたいと思います。
そして ひとりでも多くの人に 選ばれるお米を作っていきたいと思います。

最後に おこめ兄弟のお米は 低農薬 有機栽培 低価格です。

このブログを読んで、もし興味を持っていただけたら、
是非 問い合わせから御連絡下さい。
サンプル2合(300g)をお送りします。

この記事で参照した資料

「日本における食糧管理制度の展開と米流通」神戸大学農学部 加瀬敏之
http://worldfood.apionet.or.jp/kako.pdf

「クボタの田んぼ、お米ができるまで」
https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/

「米の量の豆知識」
http://www.neconote.jp/gc/sight/yonegaoka/kome.txt

「お米の等級・品質」
https://www.673.jp/rice/m2/toukyu.htm

「カメムシのまめ知識」
https://www.cp.syngenta.co.jp/cp/columns/view/kamemushi_knowledge/

日本の米市場
http://www.japan-rice.com/cargo_booking_price.html

お米とご飯の豆知識
http://www.okomehp.net

気に入ったらシェアしてね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です